「愛読書はCOMIC LO”ロリ☆こな〜ず”です!」

ぶっ飛んでる。
意味がわからない。
俺の人生で一番パンチのある名前バンド名は間違いなく二十歳の時に最初に組んだバンド「ロリ☆こな〜ず」通称”ロリこ”だ。
バンド名を決めようとファミレスで話をしている時にボーカルの子の「ロリコンってキモチワルイよな!」という発言からついたバンド名だ。
ライブのMCではボーカルが「愛読書はCOMIC LO!ロリ☆こな〜ずでーす!」とよく言っていた。
もちろんただのキャッチコピーだが、こういうバンド名をしていると「ロリコンなのか?」と勘違いされる。
違う。
「ロリコンこっち来んな!」という意味だ。
「虫コナーズ」をもじっているんだ。わかってくれ。
僕らは奄美大島のアニソンのカバーバンドとして活動していた。
オリジナル曲もちらほら出来て来たある日、ボーカルの子が結婚して抜けることになった。
そうなると曲を作った俺が代わりにボーカルを務めることになる。
「色々落ち着いたら帰ってくるからその時まで任せるわ」と言われ「絶対にあいつが帰ってくるまでバンドは続けよう」と固く決意した。
「あいつがいねぇと”ロリこ(通称)”ちゃうわ」とバンド名も”Roll in Corners(ロールインコーナーズ)”に変えた。
流し読みで「ロリこな〜ず」に聞こえるから、俺自身が隅っこにいるような大した才能の持ち主じゃないからという理由だ。
帰ってきたときにまた”ロリ☆こな〜ず”に戻そうと、そう決めていた。
「殻破ってこう!”Roll in Corners”だ!」

Roll in Cornersになってからが地獄だった。
いろんな理由でメンバーが減るわ、メンバーが変わるわ、、、
最後にのこったのは俺とドラムのふーみん(@fumiya_amami)だけだった。
2人だけでもライブ演奏はできる同期演奏ができるシステムを構築したもののやはり何か違う。
俺も完全にムキになっていて周りが見えておらずその後、職と彼女を失って疲弊していった。
職と彼女を失ったことについては【職と彼女を失う】住民税を3年滞納したらこうなるにも書いてあります。
俺はとうとう「もう何がしたいのかわからない。ステージに立ちたくない」とバンドを解散した。
「帰ってくるまで続けると決意したのに」と情けなく、申し訳ない気持ちだった。
バンド結成から6年目の夏のことだった。

篠突く雨

何もかも嫌になり毎晩ストロング缶で気を紛らわせる日々を過ごしていた。
いつものように飲みにライブバーMA・YASCOに足を運ぶ。
どうやらその日はライブだったようで、ハヤセさん(@soundhasase)が”篠月雨(@Shinotsuki_Rain)”としてステージでギターを持って歌っていた。
ハヤセさんはロリ☆こな〜ずを組んだ当初、「Sound of Silence」通称”SOS”で一番かっこいいライブをしていた人だ。
ある意味憧れの人だった。
ステージが終わった直後「おつかれさまで〜す」と声をかけに行く。
そのまま雑談。
何を話したかは覚えてない。
しばらく談笑していると突然ハヤセさんが「なっきー、篠月雨でベースしない?」と言ってきた。
「もうバンドはしない」と思っていたのに、口から出たのは「俺なんかでいいなら」だった。
「誰かの心の隙間に突然降る横殴りの雨、それが”篠月雨”」

2週間後に奄美から出ていくのは決まっていた。
「あんま力になれずすみません」と俺。
「じゃあサウンドエンジニアとして在籍してよ。音源作るとき必要でしょ?逃がさんよ?」と。
言われてからわかった。俺はこういうことを言ってもらいたかったのだと。
この人は人の心でも読めるのだろうか。
…こうして俺は篠月雨のサウンドエンジニア、2ndBass、コーラスとして在籍することになった。
どうやら”音”から逃げられないようで。
あの時ハヤセさんが声かけてくれてなかったら、俺がMA・YASCOに行かなかったら俺はもうバンドをしていなかったでしょう。
あの時で音に関する興味関心は薄れていたでしょう。
昔、自分の名前の画数を調べていたことがある。
「芸術家や音楽家に向いている」と診断された覚えがある。
音楽をやっているというより、何かにやらされていて「やめんな」と言われてるような気すらする。
俺はもう音の奴隷で、音に忙殺されるんだろう。
一生音楽は続けていくのだろう。
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